2015年7月12日日曜日

フランス映画祭2015〜合同取材〜ユニフランス代表 イザベル・ジョルダーノ氏 text藤野 みさき

『ユニフランス代表 イザベル・ジョルダーノ氏合同取材』text藤野 みさき


今年で23回目を迎えるフランス映画祭。本映画祭に伴い、2015年6月26日(金)、パレスホテル東京にて、ユニフランス代表であるイザベル・ジョルダーノ氏の合同取材が行われた。
 
代表に就任する前は、20年間に渡りジャーナリストとして活躍。幼い頃から映画が好きで、中学・高校時代は学校が終わると週に3回ほど映画館に足を運んでいたという、ジョルダーノ氏。ジャーナリストとして活動をしていた頃は、取材する立場だった彼女にとって、「私が現在のフランス映画界を代表する、オリヴィエ・アサイヤス監督や、女優のエマニュエル・ドゥヴォスさんと共に来日できるとは思ってもみませんでした。」と、今回の来日を感慨深く述べてくれた。



Q:私は昨年のフランス映画祭で上映された『スザンヌ』(*1)という映画を観て、とても感動しました。日本において本作は映画祭のみでの上映でしたが、日本ではまだ知られていない素晴らしい作品や監督も沢山いらっしゃるかと想像します。今後、ジョルダーノさんが日本において紹介したいと願う、作品、監督がいましたら、教えていただけないでしょうか?

A:『スザンヌ』は、私も好きな映画です。まず、この映画祭で他では観ることの難しい作品を観ていただけたことを、とても嬉しく思います。映画祭のラインナップのバランスを考えるとき、まだ配給の決まっていない作品を、2つは入れるように心掛けているのです。今年は『ヴェルヌイユ家の結婚協奏曲』と『夜、アルベルティーヌ』ですね。フランスにも才能に溢れる若手監督は多いのですが、強いて一人挙げるのでしたら、私はエマニュエル・ベルコを推したいと思います。彼女は非常に才能豊かな女性監督であり、最新作である『La Tete Haute』(*2)は今年のカンヌ映画祭のオープニングを飾りました。日本には河瀬直美監督がいらっしゃいますが、私は若手の女性監督の描く鋭い視点や世界感に惹かれます。フランスでは、現在女性監督の割合が25%をしめており、この数字は世界で最も高い水準を誇っているのではないかと思います。

また、2015年のフランス映画祭の団長を務めるエマニュエル・ドゥヴォスについても、

「彼女はフランスではとても愛されている女優です。彼女が歩いていると、道行く人が彼女を呼び止め、『ありがとう。』と伝えるのです。『あなたが出演しているおかげで、私はこの映画に出逢うことが出来た。』と。エマニュエルは、映画を、役柄を選ぶことが、非常に上手な女優ですね。」

と、こころ温まるエピソードも語ってくれた。

大きな瞳に、優しいまなざし。質疑応答中はもちろん、瞳が合うといつも優しく微笑んでくれたことが本当に嬉しく印象的だった。私が質問の中で挙げた『スザンヌ』のカテル・キレヴェレ監督も女性であることから、今回の取材を通じて、現在のフランス映画界において女性監督が担うことの頼もしさをも感じることができた。『私たちの宣戦布告』(*3)で知られる、ヴァレリー・ドンゼッリ、本映画祭で上映される『夜、アルベルティーヌ』のブリジット・シィや、『EDEN/エデン』の監督である、ミア・ハンセン=ラヴ。実際今年のラインナップでは上映される12本中の3本が女性監督の作品であり、今後とも彼女たちの活躍から目が離せない。

現在日本では年間約40本のフランス映画が配給されている。その本数に対して、「もっと増やせると思います。」と、ジョルダーノ氏はつよく頷く。これからも日本にフランス映画を届け続けたい。という、彼女の願い。その想いは、彼女の物腰の柔らかい姿勢や、一呼吸置いた言葉の紡ぎ方、そして時に微笑みながら私達の質問に答えている様子から、とてもよく伝わってきた。
 
映画祭開催前の、小雨模様の昼下がり。大都会のオフィス街から離れた、閑静なホテルの一角にて、落ち着いた時を過ごすことができた。

1. 『スザンヌ』
監督:カテル・キレヴェレ
出演:サラ・フォレスティエ、フランソワ・ダミアン、アデル・エネル
2013年|フランス映画祭2014年にて上映

2. 『La Tête Haute/ラ・テートゥ・ウート(原題)』
監督:エマニュエル・ベルコ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ブノワ・マジメル他
2015年|2015年カンヌ映画祭オープニング作品

3. 『私たちの宣戦布告』
監督:ヴァレリー・ドンゼッリ
出演:ヴァレリー・ドンゼッリ、ジェレミー・エルカイム
2011年|2012年日本公開

PROFILE:
イザベル・ジョルダーノ Isabelle Giordano
ユニフランス・フィルムズ代表
1963年パリ生まれ。パリ政治学院を卒業後、ジャーナリストとして活躍。10年にわたってテレビ局で映画情報番組の製作とプレゼンターをつとめる。2009年、フランス芸術文化勲章オフィシエ受勲。2013年にレジオンドヌール勲章シュヴァリエ受勲。2013年9月よりユニフランス・フィルムズ代表に就任。フランス文化の海外での普及復興に力を注いでいる。

「フランス映画祭2015」

【開催概要】
日程  : 6月26日(金)~29日(月)
会場  : 有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇(東京会場)
団長  : エマニュエル・ドゥヴォス(『ヴィオレット(原題)』主演女優)
公式URL: http://unifrance.jp/festival/2015/

主催:ユニフランス・フィルムズ
共催:朝日新聞社
助成:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協賛:ルノー/ラコステ
後援:フランス文化・コミュニケーション省-CNC
特別協力:TOHOシネマズ/パレスホテル東京/全日本空輸株式会社
Supporting Radio : J-WAVE 81.3FM
協力:三菱地所/ルミネ有楽町/阪急メンズ東京
運営:ユニフランス・フィルムズ/東京フィルメックス
宣伝:プレイタイム


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