2016年10月4日火曜日

【IFFJ2016特集】映画『キ&カ~彼女と彼~』評text大久保 渉

©Eros International

「手をつなごう」


自分にないものを相手が持っているからこそ惹かれるのか。それとも自分と似ているところがあるからこそ一緒にいて落ち着けるのか。

お互いの考えを尊重しあえるからこそ対等な関係が築けるのか。それとも悪いところを指摘しあえるからこそ必要な存在となりえるのか。

ありのままの自分を愛してくれる人と一緒になるのが幸せなのか。相手のためならいくらでも自分を変えられる程の強い想いがある方がより愛していると言えるのか。

ただ、愛する人と一緒に笑い合えるその瞬間のやすらぎは、理屈抜きに溢れ出る感情であるのだろうから、二人肩を並べて「幸せ」と感じるならば、迷うことがあっても、そっと、手と手をとりあえばいいのではないだろうか。

映画『キ&カ~彼女と彼~』は、「夢はCEO」と息巻くキャリア志向の女性・キアと、「主夫になりたい」と家庭を尊ぶ資産家の息子・カビールの、考え方は違えども、相性も目的も合致した二人の恋と結婚、心の成長を描きだす。

「男は仕事。女は家庭」。脚本にはそうした社会の考え方に対する「モノ言い」もあるけれど、しかしここでは、もっと純粋な、一組の男女の「愛のかたち」があらわされる。

飛行機の中で偶然出会い、初めて話したその日の夜に、バーでお互いの夢に茶々を入れ合うキアとカビールの顔が、交互にパパッと切り替わりながら映しだされるシーンが印象にのこる。

初めは同じ場所にいてもフレームで切り離されていた二人のすがたが、日を追うごとにだんだんと、寄り添うように、ひとつの画面に映り込む。近づく二人の身体と心。

そして、堰を切ったように流れだすメロディー。力の限り、腹の底から、伝えたい言葉を口にしながら、相手の瞳を見つめつつ、歌い合う二人。

「心地いいと思うなら、目をそらさなくていい」

「君とわたしのおかしな恋愛」

手をつなぎあう二人の熱い体温が、私の心まであたたかくしてくれる。いがみあいやすれ違いがあろうとも、二人が一緒にいる理由は、それだけでいいのではないだろうか。

(text:大久保渉)




『キ&カ ~彼女と彼~』
原題:Ki & Ka
2016/ インド/ 126分

作品解説
キャリア志向の女性と主夫志望の男性。その結婚が思わぬ展開に! 夫婦の役割を入れ替えたカップルの話だが、大胆でユニークな作品に定評のあるバールキー監督による驚きのひねりが物語を盛り上げる。演技派女優カリーナーと若手注目俳優アルジュンの、ふたりの「カプール」の好演も見逃せない。
飛行機で偶然出会ったキャリア志向の女性キアと「主夫」志望の男性カビール。二人は逆転夫婦として結婚。順調だった結婚生活は、カビールが「カリスマ主夫」として人気になったことから歯車が狂い始める。

キャスト
キア:カリーナー・カプール
カビール:アルジュン・カプール

スタッフ
監督:R.バールキー 

©Indian Film Festival Japan 2016

インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2016(IFFJ2016)
日本未公開の最新インド映画を上映。インドと日本、両国の人々の交流と友好を深めることを目的とした映画祭。東京会場は、2016年10月7日(金)~10月21日(金)まで、ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催。大阪会場は、2016年10月8日(土)~10月21日(金)まで、シネ・リーブル梅田にて開催。

開催期日/場所
東京:10月7日(金)~10月21日(金)/ ヒューマントラストシネマ渋谷
大阪:10月8日(土)~10月21日(金)/シネ・リーブル梅田

公式ホームページ
http://www.indianfilmfestivaljapan.com/index.html

タイムテーブル
http://www.indianfilmfestivaljapan.com/schedule.html

©Indian Film Festival Japan 2016

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【執筆者プロフィール】

大久保渉 Wataru Okubo 

1984年、座間市生。映画活動中。ライターとして『ことばの映画館』、『FILMAGA』、『トランシネマWEB』、少しだけ『映画芸術』、その他映画系媒体にて執筆中。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭事務局にアシスタント勤務(2016年4~7月)。インディペンデント映画の宣伝チームに参加。その他、KAWASAKIしんゆり映画祭、インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン、各種映画祭にて活動中。
Twitterアカウント:@OkuboWataru

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